「仕事や活動」

アグロフォレストリー

環境問題について考えてみると、様々な問題が浮かび上がります。

地球温暖化、大気汚染、酸性雨、異常気象、森林伐採、海洋汚染、生態系異常・絶滅など、あっという間に頭に浮かんできます。そして、地球が抱える様々な環境問題を何とかするため、現在、世界各国で色々な活動が行われています。その中でも今回は、ブラジルのアマゾン地域の「アグロフォレストリー」について紹介します。

森を育てる農法で、地球にも農家にもメリットをもたらすアグロフォレストリー

私たち人間の経済活動が盛んになったがために問題とされているものの一つが、二酸化炭素の排出量です。地球に大量の二酸化炭素が排出され、地球温暖化が加速していると警鐘がならされています。

この二酸化炭素を吸収してくれるのが森林です。ご存知の通り、森林は光合成により二酸化炭素を吸収して酸素を出してくれます。

世界最大のアマゾンの熱帯雨林は、約550万平方キロメートルもあり「地球の肺」とも呼ばれています。しかし、このアマゾンの熱帯雨林は、農地や放牧地などに転換するため、森林伐採が急速に進んでいるのが現状です。

アグロフォレストリーと自然共生

ここで注目したいのが、「アグロフォレストリー(森林農法)」です。アグロフォレストリーとは、簡単に説明すると「農業を通して森林を再生する」取り組みです。

もう少し詳しく説明すると「多様性と持続可能性を重視した農業を通して、農村地域の開発や貧困削減、気候変動や生物多様性、砂漠化、食糧危機といった問題に取り組む自然と共存できる農業」となります。

実は、アマゾンのアグロフォレストリーは、移民した日本人やその子孫たちが厳しい環境の中、苦労と努力と工夫から生み出した功績なのです。

環境問題にも対応する持続可能な農法として世界が注目するアグロフォレストリー

ブラジルのアマゾン河口近くには、ベレンという大都市があります。そこから車で5時間ほど移動したところにトメアスという町があります。ここは、1929年から日本人移民が入植した地域です。1933年にコショウ栽培を始め、1953年頃には「黒いダイヤ」と呼ばれるほどコショウはトメアスに富をもたらしました。

しかし、1960年代頃から根腐病が発生し、トメアスのコショウは破壊的な大打撃を被りました。コショウが収穫できずに農家は経済的にひっ迫していきました。

コショウだけの単一栽培では、病気に襲われたり価格変動で大きく値を下げたりすると生活がなりゆかなくなると考え、トメアスの日本人農家が注目したのは、成長サイクル、収穫サイクル、植物の特徴(高さ、日照の必要度合い等)を勘案しながら多種多様な植物を育てる混合農法でした。

1年目、焼き畑もしくは荒廃した土地にコショウの苗を植えます。コショウが10年以内に枯れることを見越し、コショウの苗の間にカカオ、パッションフルーツ、アセロラのような果物の木の苗であったり、ゴムやアサイー、マホガニーなどの高木樹の苗を植えます。

さらに空いているスペースに米や豆、野菜など一年で獲れる作物を植えます。こうすることで、農家は1年目から短期作物である米や豆、野菜を収穫して収入を得ることができます。

あわせてコショウの収穫で収入が得られます。5年目から10年目になるとコショウの木は枯れ始めます。しかし、この頃になると果物の木が成長して果実を実らせ始めるので、それを収穫して収入を得ることができます。さらにゴムやアサイー、マホガニー(材木として利用されている)などの高木樹が成長し、そこからも収入が得られる仕組みです。さらに、日陰を好むカカオはコショウの横に植え、コショウの木の日陰で育てるなど、各植物の特徴も考慮されています。

このサイクルを循環させると、毎年安定的に収穫できる上に、森の再生も同時に行えます。このアグロフォレストリーを採用している農地を訪れると、農地というイメージではなく、まるでアマゾンの森の中にいるような環境になっています。

実は、トメアスのアグロフォレストリーのヒントは、アマゾンの先住民の生活スタイルでした。彼らは、様々な種類の作物を混植し、飢えることなく生活していたのです。

日本にもアグロフォレストリーで収穫されたアサイーやカカオが輸入され、ジュースやチョコレートに加工されて販売されています。

 

このような仕組みのアグロフォレストリーは、農業の持続的発展、森林保全、生物多様性の回復、二酸化炭素を始めとする温室効果ガス対策として国際的に大きな注目を集めています。ブラジルだけではなく、東南アジアやアフリカでもこのアグロフォレストリーが取り入れられています。

 

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