2017年 5月 の投稿一覧

「仕事や活動」

環境問題について考えてみると、様々な問題が浮かび上がります。

地球温暖化、大気汚染、酸性雨、異常気象、森林伐採、海洋汚染、生態系異常・絶滅など、あっという間に頭に浮かんできます。そして、地球が抱える様々な環境問題を何とかするため、現在、世界各国各地域で色々な仕事や活動が行われています。その中で、今回はブラジル、アマゾン地域の「アグロフォレストリー」について紹介します。

森を育てる農法で、地球にも農家にもメリットをもたらすアグロフォレストリー

私たち人間の経済活動が盛んになり、問題とされている一つが、二酸化炭素の排出量です。地球に大量の二酸化炭素が排出されて地球温暖化が加速していると警鐘がならされています。

この二酸化炭素を吸収してくれるのが森林です。ご存知の通り、森林は、光合成により二酸化炭素を吸収して酸素を出してくれます。

世界最大で地球上の半分を占めるアマゾンの熱帯雨林は、約550万平方キロメートルもあり「地球の肺」とも呼ばれています。しかし、このアマゾンの熱帯雨林は、農地や放牧地などに転換するため、森林伐採が急速に進んでいるのが現状です。

アグロフォレストリーと自然共生

ここで注目したいのが、「アグロフォレストリー(森林農法)」です。アグロフォレストリーとは、簡単に説明すると「農業を通して森林を再生する」取り組みです。

もう少し難しい言葉で詳しく説明すると「多様性と持続可能性を重視した農業を通して、農村地域の開発や貧困削減、気候変動や生物多様性、砂漠化、食糧危機といった問題に取り組む自然と共存できる農業」とも言えます。

実は、ブラジル、アマゾンのアグロフォレストリーは、移民した日本人やその子孫たちが厳しい環境の中、苦労と努力と工夫から生まれた功績なのです。

環境問題にも対応する持続可能な農法として世界が注目するアグロフォレストリー

ブラジルのアマゾン河口近くには、ベレンという大都市があります。そこから車で5時間ほど移動したところにトメアスという町があります。ここは、1929年から日本人移民が入植した地域です。1933年にコショウ栽培を始め、1953年頃には「黒いダイヤ」と呼ばれるほどコショウはトメアスに富をもたらしました。

しかし、1960年代頃から根腐病が発生しトメアスのコショウは破壊的な大打撃を被りました。コショウが収穫できずに農家は経済的にひっ迫していきました。

コショウだけの単一栽培では、病気に襲われたり価格変動で大きく値を下げたりすると生活がなりゆかなくなると考え、トメアスの日本人農家が注目したのは、成長サイクル、収穫サイクル、植物の特徴(高さ、日照の必要度合い等)を取り入れ多種多様な植物を育てる混合農法でした。

 

1年目、焼き畑もしくは荒廃した土地にコショウの苗を植えます。ただ、コショウが10年以内に枯れることを見越し、コショウの苗の間にカカオ、パッションフルーツ、アセロラのような果物の木の苗やゴムやアサイー、マホガニーの高木樹の苗を植えます。

さらに空いているスペースに米や豆、野菜など一年生で取れる作物を植えます。こうすることで、農家は1年目から一年生の短期作物である米や豆、野菜を収穫して収入を得ることができます。

次にコショウの収穫で収入も得られます。5年目から10年目になるとコショウの木は枯れ始めます。しかし、この頃になると果物の木が成長して果実を実らせ始めるので、それを収穫して収入を得ることができます。さらにゴムやアサイー、マホガニー(材木として利用されている)など高木樹が成長しそこから収入が得られる仕組みです。さらに、日陰を好むカカオはコショウの横に植え、コショウの木の日陰で育てるなど、その各植物の特徴も考慮されています。

このサイクルを循環させると、1年中毎年安定的に収穫できることと、森を再生することが同時にできるのです。このアグロフォレストリーを採用している農地に行くと、農地というイメージではなくまるでアマゾンの森の中にいるような環境になっています。

実は、トメアスのアグロフォレストリーのヒントにはったのは、アマゾンの先住民の生活スタイルでした。彼らは、様々な種類の作物を混植し、飢えることなく生活していたことがきっかけでした。

日本でもアグロフォレストリーで収穫されたアサイーやカカオが輸入され、ジュースやチョコレートに加工されて販売されています。

 

このような仕組みのアグロフォレストリーは、農業の持続的発展、森林保全、生物多様性の回復、二酸化炭素を始めとする温室効果ガス対策として国際的に大きな注目を集めています。ブラジルだけではなく、東南アジアやアフリカでもこのアグロフォレストリーは取り入れられています。

 

「大気汚染問題について」

毎日吸う空気とその汚染

私たち人間が世界規模で工業発展を進める一方、深刻さを増している問題の1つが大気汚染です。

大気汚染の主な原因とされるものが3つあります。工場から排出される有害物質を含む煙、自動車の排気ガス、火力発電所から排出される二酸化炭素や二酸化硫黄です。

工場から排出される煙には、硫黄酸化物や窒素酸化物などの有害物質が含まれています。これらは、私たちの体の呼吸気道や肺へ影響があるとされ、ぜんそくや気管支炎、肺気腫などの影響が挙げられています。

自動車の排気ガスには、二酸化炭素や窒素酸化物などが含まれています。二酸化炭素は地球温暖化の原因であり、窒素酸化物はスモッグの原因です。

火力発電所では、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やし電力を作り出します。化石燃料が燃えるときに、地球温暖化の原因である二酸化炭素や酸性雨の原因である二酸化硫黄を排出します。特に、石炭を燃料とする火力発電所が大気汚染の問題視されています。

 

汚れた大気に取り巻かれる地球と私たちの生活

私たち人間は、すでに大気汚染による重度の健康被害を被っています。1952年12月、イギリスのロンドンで、数日間で4000人以上の命を奪ったと言われるロンドン・スモッグが発生しました。

石炭を使う工場や各家庭の石炭の暖房によって大量に発生した二酸化硫黄と霧が混ざってスモッグが発生し大惨事をもたらしました。これを機に、世界各国で大気汚染問題について考えられるようになりました。

また、戦後の日本では、復興事業や高度経済成長による大規模工場建設が相次ぎ、その周辺では様々な公害が発生するようになりました。日本で大気汚染公害の始まりといわれる1960年代の四日市公害がその一つです。

三重県四日市市の港を埋め立て建設らせた石油化学コンビナートからは、硫黄酸化物や窒素酸化物などの有害物質を含む煙が排出され、これを吸った住人たちは、次第に重度のぜんそくの発症するようになりました。

これが、四日市ぜんそくと呼ばれる大気汚染公害でした。後に、患者たちは工場を相手に裁判を起こし勝訴します。これによって、工場は公害防止や環境問題について取り組みを強化し始めました。

また、この裁判では、工場だけでなく市、県、国への責任も指摘され、患者は、国による救済が受けられるようになりました。

他にも大気汚染問題の原因は、二酸化炭素をはじめ多くの大気汚染物質が発生する森林火災、ダイオキシンなど危険な残留性有機汚染物を発生させる化学物質の使用や廃棄物の焼却、トラックやバスで使用されるディーゼルエンジンから排出される浮遊粒子状物質なども挙げられ、大気汚染問題解決には、多くの課題が山積しています。

大気汚染のままでいいの?

これまで世界中の政府機関や企業では、この大気汚染問題を改善させるため、たくさんの取組みが行われています。

例えば、工場を保有する世界中の様々な企業は、自分たちの工場から排出される有毒物質を含んだ煙からその有毒物質を取り除く浄化装置を利用して工場外に排出される煙による汚染対策をしています。また、各国で、排出量制限や排出権取引という措置を導入し、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を規制しています。

自動車の排気ガスについては、自動車メーカーは、エンジンの燃費を向上させ排気ガス削減させる開発、車体の排気装置に触媒コンバーターを取付け有害物質の排出を削減させる取組み、二酸化炭素を排出しない燃料電池車や電気自動車のような、ガソリン燃料に代わる新しいタイプの自動車開発に取り組んでいます。

また、ヨーロッパなどの都市では、自動車に代わり公共交通機関や自転車利用の推進、公共交通システムや自転車専用レーンの整備などを進めています。さらに、都市部に流入する自動車の抑制にも乗り出しています。

そしてエネルギー分野では、火力発電に代わるクリーンで再生可能なエネルギー生産が次々と導入されています。太陽光発電、風力発電、水力発電、バイオマス発電などがそのクリーンエネルギーの代表です。

2011年3月11日の東日本大震災の原発事故放では、射能による大気汚染が発生し未だ解決できない大きな問題になり、私たち日本国民は環境にも人間にも負荷の少ない電力について考えさせられるきっかけました。

 

今日、世界規模で大気汚染の問題について様々な取組みが進められていますが、問題解決にはまだまだ程遠いのが現実です。各国、各地域、各企業、そして各人で問題意識のレベルも千差万別です。

重要な問題として改善に向け積極的に取組む人たちもいれば、利益や利便性などを優先させこの問題を脇に置いている人たちもいます。また経済的、金銭的な理由で取組みが遅れている場合もあります。

大気汚染の最大の原因は、私たち人間で、自分たちの行いで自分たちの生活環境や健康を害していると思います。それぞれ事情はあるにせよ全世界共通の資源である空気なので、みんな共通の問題意識を持って対策に取り組む必要があると思います。

「生物の問題」

見出し:

・ミツバチから考える地球の生物問題

・生態系が崩れて始まりだした人間への不都合

・私たちは生物と共に生きなければ生きていけない

 

地球が誕生して、そこに生物が生まれました。その生物は、生息する地域の環境と気候、そして食物連鎖のすべてのバランスが保たれた状態の生態系で活動しています。生物は、大気中、陸上、地下、水中とありとあらゆるところに存在し生きています。

これまでに約175万種類の生物が見つかっていますが、まだ発見されていない種類を合わせると300万から1億種類以上いるのではないかと推測されています。

安定している生態系は、何かが原因となって環境条件が変わり、生態系のバランスを失い、生物の生存に危険が及ぶこともあります。

地球が誕生してからこれまで生物は何度も大絶滅と進化を繰り返してきたと言われています。氷河期が訪れて恐竜が絶滅したのは、その一つの例です。またもっと身近な例だと、火山の噴火などの自然災害もその地域の環境を変化させ、これまでいた生物が住めない環境に変えることがあります。

ただ、近年、世界中で問題視されているのは、人間によって引き起こされている環境破壊が生態系を変えて生物を危険に陥れていることです。

 

森林伐採、乱獲、都市化、開発、水質汚染、大気汚染、地球温暖化などにより、その地域に生息する生物は、住みかを奪われたり、命を奪われたりしています。また、新しい住みかを求めて生息地を移動したり、生態系のバランスが変化して食物連鎖が崩れたりと、新たな危機が潜んでいます。

残念ながら、すでに絶滅した生物や、今まさに絶滅の危機にある生物もいます。そして、生物が絶滅しているスピードが近年加速していると警鐘をならす専門家や研究者がいます。

 

この生物の絶滅や絶滅の危機、または減少は、単に地球上の生物の種類が減るというだけではありません。私たちの身近にある深刻な問題なのです。

例えば、国連食糧農業機関(FAO)の研究チームは、花粉を媒介するミツバチについて、各国での生息状況悪化が目立ち、保護対策の必要性を伝える報告書を生物多様性条約第12回締結国会議(COP12)で提出しました。

アメリカでは、2006年ごろからミツバチの群れが突然いなくなる現象が問題になっていて、ヨーロッパでは、花粉や蜜を集めるハナバチのうち、約16種類が絶滅の恐れがあるとされています。

 

ミツバチの減少について、報告書では、寄生虫やネオニコチノイド系の農薬の影響が指摘されています。また、チェリノブイリ原発事故による放射性物質汚染が激しい地域でもハナバチをはじめとする花粉媒介昆虫の数が突出して少なかったことも指摘しています。

 

ミツバチの減少がなぜ私たちの身近な問題なのかというと、食料不足になる可能性が指摘されていくからです。花粉を媒介するミツバチの減少によって、受粉ができず植物や果実などが育たなくなる懸念があります。

ミツバチだけが花粉を媒介するのではなく、ハエやチョウチョなど花粉を媒介する昆虫はほかにもいます。ただ、国連食糧農業機関の試算によると、世界で生産されている全作物の3分の1以上でミツバチが受粉を行っています。米や麦などは、受粉の必要はありません。

一方、受粉が必要なのは、リンゴやモモ、ブドウなどの果物や、コーヒーなどの果実、また、家畜の餌になる干し草、そして衣類に材料になる綿花などがあります。こうした作物が不作となれば、私たちは、食料不足、価格高騰などの打撃を受ける可能性が予測できます。

まだ、ミツバチの減少関する問題は、解明されていない点が色々ありますが、放っておけない問題でしょう。最近、ヨーロッパやアメリカの都市部では、住人がベランダなどでミツバチを飼育している例もあります。

 

生態系に変化が及んだり崩れたりする場合、連鎖反応に思ってもいないところにその影響が及ぶことがあります。生物、自然環境、気候のバランスからなる生態系やそこでサイクルしている食物連鎖活動の保全活動が世界各地で行われています。

人間だけの地球ではないし、生物がいなければ人間は生きていけません。両者が共存する生態系を保つため、地球環境について考える時でしょう。

 

「水の問題」

水の惑星、地球の水が危ない

日本では、蛇口をひねれば簡単に安全な水が飲めますが、世界では人口の約1割に当たる人々が安全な水を飲めない環境で生活しています。

また、水は、私たちの飲料水や料理、入浴、洗濯、掃除などの家庭用水として利用されるだけではなく、農業用水や工業用水などにも大量に利用されています。

もちろん、地球上の生物にとっても必要不可欠なものです。そんな全世界で必要な水ですが、国や地域で水資源の量に格差があります。

そして、その格差が広がりつつあります。

限りある水の話

そもそも、地球の表面は、3分の2以上が水で覆われています。そのうち、約97.5%が海水で、残り約2.5%が淡水です。また、淡水の約70%は、南極や北極の氷の中に存在しています。

人間や動植物が利用できる水は、淡水のさらに一部で、その割合は、地球上の水の約0.8%にすぎません。つまり、地球の水資源には限りがあることを私たちは認識しておかなければなりません。

 

しかし、そんな大切な水の不足が世界各地で心配されるようになっています。過去300年ほどで、地球上の人口は約7倍増加しました。人口が増えたことで使用する水の量はどんどん増えています。

人口は現在も増加傾向にあるので更なる水不足が懸念されています。さらに、世界の人口増加のスピードよりも水使用量の増加スピードがかなり上回っています。

また、地球温暖化が水不足の原因にもなっています。気温の上昇に伴い、降水パターンが変化し、雨が極端に降らない少雨やその逆の豪雨の発生が高まっています。

 

特に水不足が深刻になっていくと予測される地域は、アルジェリアやチュニジアなど北アフリカやアラブ首長国連邦、サウジアラビア、ヨルダンなどのアラブ諸国に多くあります。

また、ソマリア、ケニア、ウガンダなどのアフリカ諸国やインド、パキスタン、バングラディッシュ、韓国などのアジア諸国、またヨーロッパのポーランド、南アメリカのペルーなどでも部分的な水不足に直面すると指摘されています。

現在の世界人口数は、約73億人ですが、2025年にはその数が約79億人に膨れ上がるとみられています。そして、2025年までに、世界人口の約20億人が水不足地域で生活する予測があります。

 

一方、日本はというと、年間の降水量はおよそ1700mm/年で世界平均の約2倍あると言われていますが、国内の水資源量は、世界平均の半分以下しかないというデータがあります。

また、国内でも地域差があり、関東地方の水資源量は、エジプトと同程度という報告があります。

水不足の問題について、日本国内ではあまり強い危機感を感じませんが、日本も決して水資源に恵まれているとは言えません。また、食料自給率の低い日本は、輸入によって国内で消費する食料をまかなっています。

例え日本に十分水資源があったとしても、食料の輸入先で水不足が悪化すれば農作物不足となり、日本は食料を輸入できなる場合だってあります。それが、日本の食料不足を招く原因にもなりかねません。

つまり、例え水がある地域に住んでいても、他人事にはできないのです。

他人事にはできない水の問題

現在、水不足の解決策として、海水を淡水に変える技術開発が進んでいます。これは、すでに実用化されていて、海水淡水化市場では、アメリカがトップにいます。

2015年時点では、約1兆円の市場規模でしたが、この市場は今後益々成長して、2025年には12兆円を超えると試算されています。

日本も海水淡水化の技術はありますが、まだこの市場のトップ10の国に入り込めていません。しかし、日本の新たな産業として、この海水淡水化技術の輸出に期待が集まっています。

こうした技術は、この水不足問題の解決として、大いに役立つものではありますが、そもそも地球上の水資源量には限りがあります。なので、私たちが、まず身近なところか対策を取っていくこと大切です。

日常生活において節水への心がけなど、水を大切にする意識をみんなが持って行動に起こすことが必要です。

 

「健康問題について」

地球の健康と私たちの健康

私たち人間の活動によって、この地球では様々な弊害が引き起っています。日々排出され続ける有害物質や二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスによる大気汚染は、地球温暖化の原因になっています。

また、その地球温暖化は、気候変動を生じさせ世界各地に異常気象をもたらす原因の1つに挙げられています。そして、この大気汚染、地球温暖化、異常気象は、私たちの健康にも関わる問題になっています。

 

過去には、こんな事例があります。1952年の冬、イギリスの首都ロンドンで「ロンドンスモッグ」公害事件が発生しました。ロンドンの冬の濃い霧と工場や家庭で石炭燃料を燃やして出た煙が混ざりスモッグを発生させました。

このスモッグの影響で呼吸器系の健康被害で約4000人以上が数日のうちで亡くなるという痛ましい出来事でした。こうして、1950年代から先進国での公害問題が深刻になりました。

環境破壊が進むと私たちの健康も破壊される

日本では、「熊本水俣病」、「四日市ぜんそく」、「イタイイタイ病」、「杉並病」などがあります。1956年に公式に確認された「熊本水俣病」は、熊本県水俣地域の工場が有機水銀を含む工場排水を排出し、その有機水銀が蓄積された魚介類を食べていた地元の人たちなどに重大な健康被害をもたらした公害です。

その後、1965年には、新潟県阿賀野川流域でも工場排水が原因となる「新潟水俣病」が起きました。

 

「四日市ぜんそく」は、三重県四日市市の石油コンビナートから排出された硫黄酸化物による大気汚染の影響で、近隣地区で起こった慢性気管支炎です。大規模な石油コンビナートが始まった1961年頃から症状を訴える患者が増えました。

 

「イタイイタイ病」は、富山県神通川流域の住民が原因不明の骨折などにより痛みで苦しんだ公害です。1968年に当時の厚生省が、上流の岐阜県神岡鉱山から排出されたカドミウムを含む廃液が農作物や飲料水に混ざり、その農作物や飲料水を摂取した住民の体内で蓄積され骨がもろくなったと原因を見解しました。

 

最近では、東京都杉並区の不燃ごみ中継施設から排出された化学物質が原因の健康被害「杉並病」があります。この公害は、2002年に公害等調査委員会が健康被害と施設から排出される化学物質の関係性を判定し、東京都が損害賠償を行っています。また、2011年の東日本大震災による福島原発事故による汚染も記憶に新しい出来事です。

 

大気汚染による健康被害の中で、最近、日本でよく耳にする言葉に「PM2.5」があります。これは、硫黄酸化物や窒素酸化物などが大気中で化学反応を起こした2.5㎛(マイクロメートル)以下の非常に小さな粒子の汚染物質で、呼吸器系疾患や循環器系疾患などの健康被害があるとされています。

春から夏にかけてMP2.5の濃度があがるとして、気象庁なども注意を呼び掛けています。日本国内で発生していますが、中国のPM2.5が風や黄砂で大陸を移動して日本で観測されるとも心配されています。

 

また、最近頻発する異常気象や地球温暖化による健康被害も心配です。アフリカなどでは気温上昇や干ばつによる食糧不足で、栄養不足や飢餓に瀕している地域があります。

水不足も引き起こし、安全な水にアクセスできず、不衛生的な水を飲み慢性的な下痢などの健康被害を起こしている地域もあります。また、熱波による死亡や疫病も発生しています。日本でも夏場のヒートアイランド現象などで熱中症への注意が必要になっています。

 

そして、集中豪雨や大型台風の影響による農作物の不作も起こっています。例えば、昨年の北海道で発生した大型台風の影響で今年はポテトチップス用のジャガイモが不作となり、各メーカーで一部の商品の販売を中止しています。

このような不作が今すぐ私たちの健康に何か影響を及ぼすとは思えませんが、異常気象による不作で食糧不足が悪化した場合、深刻な問題に発展しかねません。

また、水質汚染による健康被害も忘れてはいけません。食物連鎖で蓄積された有害物質を含む魚介類を食べて人体に影響が及ぶと専門家が指摘しています。

地球も人間も健康で長生きするために

地球環境と私たち人間の生活は、切り離せない関係です。ただ、残念なことに地球環境は、私たちの活動で破壊されています。課題となる様々な環境問題が私たち自身の生活を脅かしています。

グローバル社会現代、この地球規模で発生している環境問題は、どこか特定の地域だけの問題ではなく、全く離れて一見関係ないような場所にも関連しています。なので、世界各国・各地域が共通の問題意識で対策を進めていくことが必要です。

『海の問題』

青くきれいな海を守りましょう

地球の約70%を占めているのは、海です。あの青くてきれいな海が今、どんどん汚されています。

そもそも、海は自分の力で浄化する力を持っています。しかし、今日、私たち人間によってどんどん汚されている海は、もうすでに自分の力で浄化できなくなっています。

 

海を汚染する原因は、様々あります。汚染の大きな原因と言われているのが、家庭や工場から排出される汚水です。家庭からは、台所、お風呂場、トイレからの汚水が排出されています。

工場からは、化学物質が含まれた汚水が排出されています。下水処理設備の整った地域では、家庭や工場の排水は、下水処理施設できれいに浄水されてから海や川に流されます。

一方で、この下水処理設備が整っていない地域では、家庭や工場などから排出された汚水がそのまま川や海に流されています。これは大変な問題です。

 

田畑の化学肥料が混ざる農業排水、家庭用洗剤が混ざる家庭排水にはリンという物質が含まれ、これが海に流れ込むと海に栄養がいきわたる「富栄養化」になります。こうなると、海に流れ込んだリンなどの化学物質を栄養にして藻や植物プランクトンが大量に繁殖し、海が赤くなる赤潮が発生します。

赤潮が発生すると、藻や植物プランクトンを食べる動物プランクトンも異常発生し海水が汚れ、また、海水中の酸素が不足し始めます。

そして、そこに生息する魚介類に被害を与えるのです。また、農薬が混ざる農業排水や様々な薬品や化学物質が混ざる工業排水が海に流れ込むと、海の水質や生物に長期にわたり悪影響を与えます。

海難事故も海の大きな汚染原因です。

例えば、石油タンカーが海上で座礁し大量の油が海に流れ込む事故があります。この事故が発生すると、大量の原油が海に流れ込みそれがどんどん広がっていくと、海の生物に深刻な問題を与え、生態系に悪影響が及びます。身近な例を挙げると、日本でも重油流失事故がありました。

 

1997年1月2日未明、島根県沖の日本海でロシア船籍のタンカー「ナホトカ号」が座礁しました。その結果、船に積載されていた重油の一部、約6240KLが流れだし、日本の海上保安庁や海上自衛隊、また地元住民や全国から集まったボランティアで重油の回収作業が行われました。

回収作業が終わるまで、1ヵ月強かかり、2月25日に終了したようです。この影響で、海の生物への被害はもちろん、その他、事故が発生した日本海の水産物に対して風評被害もあり、漁業関係者も被害を被っていました。

大気汚染によって有害な化学物質を含んだ雨、酸性雨も海洋汚染の1つと言われています。酸性雨が海に降ることにより、そこに生息していた海洋生物が生息できなる環境を生み出します。

そこで産卵できなくなるなど生態系に影響を及ぼします。また、異常な遺伝子ができ雄雌胴体などの異常生物が生まれているという報告もあります。また、酸性雨は赤潮の発生は有害プランクトンの発生につながると指摘されています。

家庭から海へ、畑から海へ、街から海へ、毎日汚染物質が流れ出す

これらのほかにも、人間が出すゴミも問題です。海岸のあちこちにゴミが捨てられていたり、船からゴミを投棄されたりするケースもあります。

例えば、海に捨てられた透明なビニール袋を餌と勘違いして食べた海洋生物の内臓に消化できないそのビニール袋がずっと残ってしまう映像や、海に残された釣り糸に絡まりケガをしている海洋生物の映像を目にする機会があると思います。

日本のゴミが海を渡り、中国やロシアに流れ着くこともあればその逆もあります。このように、海のゴミは海流に乗ってその汚染範囲を拡大させます。

進む海の汚染問題

このような海洋汚染の問題改善のため、現在、世界各国・各地域で「水質汚濁防止法」が制定されています。この法律は、工業・産業排水などによる川や海の資質汚濁を防止を目的に水質浄化に努めるものです。日本でも1970年、工場や企業からの排水規制を目的として制定されています。

そのほか、グリーンピースなど環境保護団体など、政府や民間の機関や団体が問題改善に乗り出しています。日常生活の中で、「ゴミを捨てない」、「環境にやさしい洗剤を選び使用する」など、私たちが個人レベルでできることもあります。こうした小さな気遣いから、海洋汚染防止に貢献していけます。